第14回イタリア国際毛髪学会(ISHR)のご報告(1/2)


第14回イタリア国際毛髪学会(ISHR)に、紀尾井町クリニック本院の柳生元院長が招待され、研究発表をおこないました。発表の演題は「Is high density transplant suitable for secondary cicatricial alopecia?」と「Beta blocker & hair transplant surgery」でした。最初の発表は、瘢痕性脱毛の病変で高密度植毛を成功させるコツを解説したもので、2番目の発表は、循環器疾患がありベータ遮断薬を投薬されている患者さんで安全に植毛手術を実施するためのガイドラインを解説したものです。いずれの発表も、欧米の多数の植毛医たちから高く評価され、称賛されました。

「科学的な理論に裏付けられた、素晴らしい発表だった」(ISHRS幹部Sharon Keene博士)

「傷跡への植毛で、同じ病変部を正確に写真で比較する大変な作業をきちんと行っていて、内容の優れた発表だった」(ISHR前会長Piero Tesauro博士)

「とても素晴らしい植毛結果だ」(ブラジルMarco Chrisostomo博士)

「若い人で不整脈の場合どこに気を付けて手術すべきか、よくわかった。この発表を国際毛髪外科学会でも会員全員に聞かせてほしい」(ISHRS会長Jennifer Martinick博士)

「循環器の病気がある人では、安定した状態に保って手術を行うことが重要だということが理解できた」(ISHR元会長、ISHRS幹部Vincenzo Gambino博士)

「Burugada症候群を初めて知った。今後、自分のクリニックでも必ず術前に確かめることにする」(ISHRS元会長Robert Leonard博士)

「今日の発表内容を論文にまとめたら、ぜひ送ってほしい」(チューリッヒPeter Nyberg博士)

などのコメントが寄せられました。狭心症や心筋梗塞、人工弁、不整脈などの病気をもつ症例でも、安全な植毛手術を多数行ってきた柳生元院長の実績が、驚きとともに称賛の言葉で迎えられ、たたえられました。


2012年5月24日~27日の間、第14回イタリア国際毛髪学会(ISHR)が、イタリアのローマ市で開催されました。
今回の学会には、アメリカから8名の植毛医が参加し、他にもアジア、ヨーロッパの各地から10名以上の植毛医が出席して、各々が研究発表を行いました。
今回の学会の演題内容では、ドナー採取法と縫合法の工夫、頭頂部の移植効果、FUT法とFUE法の併用法、局所麻酔剤の薬理と中毒、生え際のデザインの工夫、FUE法の改良、ロボットによるFUE手術、FUTとFUEの長所と短所、瘢痕性脱毛の治療、ドナー傷跡への植毛、低出力レーザーによる脱毛症の治療効果、Acellの3年間の使用経験、眉毛の植毛の要点、治療困難な症例、皮膚の幹細胞、EWPCと休止期の短縮効果、自家移植後の炎症性脱毛、脂漏性皮膚炎と真菌感染、心因性脱毛症、医療過誤と医療法、dermoscopyの役割、頭皮の生検、finasteride治療、循環器薬剤の調節、autocloning、ヘアサイクルの調節、PRPの効果、PRPの現実と展望、prostaglandinの基礎研究、AGAの薬物治療、tricopigmentationの実技、などが話題になりました。


ローマ


2012年のイタリア国際毛髪学会(ISHR)は、5月24日~27日の間イタリアのローマ市で開催されました。西洋の歴史で、世界の中心として長く君臨した古代ローマの歴史的建造物が、現在の日常生活と同居していて、遺跡のそばを通勤ラッシュの車が走る、不思議な街でした。晴天に恵まれ、さわやかな気候の5月のローマでした。
今回の学会の会場は、ヴァティカン所有のロマネスク様式の古い建物で、壁画で飾られた由緒ある広間でした。
ヴァティカン市国から近い会場で、石畳の細い路を歩くと、ナヴォーナ広場もすぐそばでした。
狭い道路に小型車があふれ、1台分の駐車スペースで2台停められるというのが、ローマのTVコマーシャルの売り文句でした。