狭い範囲への移植など、少量のドナー株の植毛に適した植毛方法

少量のドナー株で充分な、眉毛、ヒゲや傷痕などの植毛にはFUE(Follicular Unit Extraction)の治療が有効です。頭皮が硬くて可動性が少ない方や、以前のFUT縫合痕を修正したい場合にもFUEが適しています。

FUEの手術方法

直径1mm前後のパンチ(鋭利な筒状の刃物)で毛根ごとくり抜いてドナー株を採取します。

皮下の毛根を傷つけないように1株づつFUE専用のパンチを駆使してくり抜く高度な技術が必要で、ドナー採取にはFUTより時間がかかります。時間と手間のかかる手法なので治療費はFUTより高額なる傾向がありますが、1株ごとに採取する為、1つ1つの傷痕は米粒大と小さく、回復期間もFUTに比べると比較的短い等の特徴があります。

FUEのメリット

  • メスを使わない
  • 頭皮が硬く可動性が少ない方に向いています
  • FUT縫合痕を修正したい場合に適しています
  • 手術後の回復期間がFUTに比べると短い

FUEのデメリット

  • 生涯に採取できるドナー株数はFUTの約半分(約2,000~3,000株)
  • 点状の傷痕がドナー採取株数と同数残る
  • 費用はFUTより高額(同じ株数の場合)
  • 毛根切断率(ドナーロス)は医師の技量による

ドナー株採取後のFUE傷痕

FUEはパンチでドナーを採取したあとの傷口を解放のまま残して、自然にふさがるのを待ちます。おおよそ10日から2週間ほどで傷はふさがります。傷痕は使用したパンチよりも少し大きなサイズになり、白い米粒状の傷痕が多数(ドナー採取株数と同数)残ります。坊主刈りにすると傷痕は目立ちますが、髪が4cm以上あれば傷痕は隠れます。この傷痕はFUEに由来するものなので、他のクリニックでも残る傷痕は同じ状態になります。

術後7日まで

術後8日~14日

術後15~24日

術後1ヶ月

パンチと毛根切断率

紀尾井町クリニックではFUEのパンチを0.85mmから1.15mmまでのサイズを多数ご用意しています。パンチのサイズは世界的な統一表示基準が確立されていないので、「外径」だったり「内径」だったり、一概に比較はできません。毛根の太さや癖毛などを総合的に判断して、ドナー株採取の効率が高く(毛根の切断が少なく)、かつ患者様に負担が少ないパンチサイズを選択しています。

当院では、このバランスが一番重要なポイントだと考えています。何故なら、パンチサイズが小さいほど傷痕は小さくなりますが、同時に毛根切断率(ドナーロス)が高くなります。毛根が切断されたドナー株を移植しても、髪は復活しません。

これがFUEの限界で、さらに問題なのはAGAが進行するということです。FUEで3,000株以上を採取すれば、ドナー株を採取した後頭部が逆にスカスカの脱毛になって生涯残ります。

男性型脱毛症(AGA)の進行パターン