広範な薄毛の改善など、大量の移植株を必要とする場合に適した植毛方法
広範囲の薄毛治療、例えば1,500~2,000株のドナー株を一度に移植したい場合には、FUT(Follicular Unit Transplantation)が向いています。生涯には最大で約6,000株の植毛が可能です。前頭部から頭頂部等への広域へ移植するのにも充分なドナー株数がFUTなら確保できる可能性が高いので、進行するAGAへの対応も期待できます。
FUTの手術方法
後頭部の頭皮を上下約1cm、長さ約10~20cmの横長の帯状に切り取ります。
そして熟練した看護師が双眼実体顕微鏡を使い、毛根を傷つけないよう慎重に細かく切り分けてドナー株を作るのが「ボリューム植毛FUT」です。
目視で確認しながら手作業で株を切り分けるので毛根の切断率は非常に低く、質の高いドナー株を多量に採取できますので、安定して「自然な仕上り」と「高い密度」など優れた植毛結果を得る事が期待できます。
しかも治療費はFUEより安く済むなど、長所が多い方法です。
紀尾井町クリニックの株分け技術
人間の頭髪は1本ずつ生えているわけではありません。当院では、1本毛の「マイクログラフト」、2本毛、3~4本毛の「フォリキュラーグラフト」を効果的に組み合わせて、自然な仕上りとボリューム密度を実現できます。この方法によりさらに費用対効果が高く、自然な仕上がりが期待できます。
1本毛
2本毛
3〜4本毛
毛根は皮下で生えている向きが一本一本異なります。立体的に見える双眼実体顕微鏡を使い、切り取った帯状の頭皮をサージカルナイフで毛根を傷つけないよう慎重に切り分けてドナー株を作ります。余分な頭皮を削ぎ落として1本毛、2本毛、3~4本毛へと、毛根を切り分けます。ご希望の植毛デザインを実現するために、2本毛を2つの1本毛にしたり自在に株を切り分けていきます。細心の注意を要する熟練作業で、手作業ゆえに毛根の切断は看護師の技量に左右されます。
また、虚血時間(ドナーの血流が停止してから移植後に血流が再開されるまでの時間)が短いほどドナー株の鮮度を保ち、定着率が高まるため、FUTの自毛植毛では「スピードの速さ」も「質の高さ」の重要な要因のひとつとなります。
このように質の高いFUTを実現させるためには正確さとスピードを高レベルで実現させる「匠の技」を持つ看護師の存在が必要不可欠です。FUTは洗練された合理的な植毛プロセスであり、当院では自毛植毛に特化した技術と経験を持つ熟練の看護師が多数在籍しているため、1,000株の植毛なら、株分けをおよそ30分で行い、移植までの全工程を2時間程度で完了させます(同じ株数ならFUEの約半分の時間です)。
縫合痕からも生えてくる「トリコフィティック縫合法」
ドナー採取後は、後頭部の横長なドナー採取部を縫い合わせるので、細い線状の傷痕が1本残ります。髪の長さが4cm以上あれば傷痕は隠れますが、坊主刈りにすると細い線状の傷痕は目立ちます。FUTでは前回のドナーを採取した傷痕を含めて同一部位から2~3回の追加採取が可能なので、細い線状の傷痕は1本で、その後は本数が増えません。
ドナー採取部2年10ヶ月後(2回目の手術時)
ドナー採取部の前処理(2回目の手術時)
通常の方法で縫合すると周囲には毛が生えていますが、縫合した傷痕には毛が生えていないため、傷が完治した後も傷痕を探せば分かります。紀尾井町クリニックでは、ドナー採取部を縫合する最新技術の「トリコフィティック縫合法」を取り入れています。トリコフィティック縫合法は、傷痕に毛が生えてくれば、たとえ傷痕があっても目立たなくなるという理論から開発された縫合法です。
ドナー採取部の下縁の表皮を1~2mm削り、そこにドナー採取部の上縁の表皮をかぶせるようにして縫い合わせます。移植した部位や広さ、体質などによって多少の個人差はありますが、傷が治った後で傷痕に毛が生えてくるので、目立ち難くなります。具体的な事例は下記からご覧いただけます。
大量の株を移植する「FUTメガセッション」
FUTメガセッションとは、1回の手術で通常のFUTの2回分に相当する大量の株を移植することです。
前頭部から頭頂部にかけての広範囲な薄毛の場合、1回目は前頭部、2回目は頭頂部というように2回に分けて移植していましたが、FUTメガセッションなら2回分を1回の移植で済ませられます。広範囲な薄毛を短期間で治療したい方には最適な植毛方法です。
FUTメガセッションは技術的な難易度が高く、紀尾井町クリニックでは経験を充分に積んだ医師と看護師が施術しますので、理想的な結果が安定して得られます。
FUTの傷修正
FUTの傷は、FUEでくり抜いた株を傷の上に移植していく方法やSMPで修正するなどの方法で修正する事ができます。
下記の例は、FUTの傷に対して、FUEで127株移植して傷修正を行ったものになります。