自毛植毛は安全で効果の高い治療法ですが、副作用がないわけではありません。その発生率や程度は、年齢、体質、持病、移植範囲や植毛回数によってかなり個人差が出てきます。
以下の症状はどれも一時的なもので、時間の経過とともに、改善します。ときには、症状の緩和のためにお薬を内服していただく場合もあります。
術後すぐに見られる症状
痛み
術後1~2日目にドナー部に軽いつっぱり感を感じますが、処方された鎮痛薬で治まります。多くの方は、鎮痛薬を使用せずに済みます。また、ドナー縫合部の違和感は1~2週間程度で改善します。
出血
術後1~2日目頃、まれに見られるにじむ程度の出血は、血流の良い証拠で、傷の治りを良くし、感染の予防にもなりますので、ティッシュや清潔なタオルで数分間圧迫すれば止まります。
吐き気
手術中に使用する薬剤の影響でまれに起こりますが、翌日には自然に治ります。
移植部位のかさぶたや赤み
移植した株が乾燥してかさぶたができ、取れるまで約10日間かかります。取れたかさぶたに移植毛がついていても、毛根組織は定着しているので大丈夫です。赤みは自然に消失していきます。
術後、数日経ってから見られる症状
額やまぶたの腫れ
手術中に使用する麻酔薬の影響で、3~4日目頃から額や目のまわりが少し腫れたり、赤く変色することがあります。4~5日目がピークで、一週間前後で自然に治りますのでご安心下さい。
かゆみ
移植部にかゆみを感じるのは10~14日目以降です。頭皮を清潔に保てば軽減・予防できます。
しゃっくり
術後1~2日目にしゃっくりが出ることがあります。通常、数時間から半日程度で自然に治まりますが、長引く場合は内服薬で治療できます。
術後、数週間から数ヵ月後の間に見られる症状
一時的な脱毛(ショックロス)
1~4ヵ月目頃、移植部位の既存毛の一部や、ドナー採取部周囲の毛の一部が抜けることがあります。植毛の影響による一時的な脱毛で、5ヵ月~1年後には元通りに生えてきますので、ご心配なくお待ちください。
感染症・膿胞
頭皮表面の軽い感染は、抗菌薬のクリームや内服薬の治療により数日間で治ります。数ヵ月~半年後頃までに、植毛範囲に赤い吹き出物が現れたら、小さいものは、抗菌薬のクリームを塗ります。2~4mmの毛膿炎も針や爪でつぶして膿を出せば治ります。
しびれ
ドナー縫合部の周囲のしびれや違和感は、遅くとも半年後には自然に解消します。
移植毛のくせ
4~5ヵ月目頃から最初に生え始める移植毛は、少しカールしていることがありますが、いずれ、ストレートな髪が生えてきます。