脱毛の起り方、植毛適応、育毛等について(木村さんの投稿)

昨年の夏は、その頃の写真やビデオを見るとフサフサだったのですが、今年の9月に入ってから脱毛が目立ち、日に日にヘアスタイルが変わるのが分かる程で、今は頭頂部が、かなりスカスカとなりました。

そこで質問なのですが、数ヶ月から1年程度で、急激に壮年性脱毛することがあるのでしょうか?
ストレスにより、皮膚の血管が収縮したり、コルチゾールにより皮膚の蛋白異化が進んだり、あるいは副腎からのアンドロゲンが多く出てDHTによる影響を受けたりの程度で、急激な脱毛を起こす事は在り得るのでしょうか? また、自分の場合、甲状腺異常に見られるような症状も他にはありません。ただ、競技スポーツの為、ダイエットはしましたが、それはここ数年、毎年やっていることで、これまで脱毛はしませんでした。ダイエットでも急激脱毛はありえるのでしょうか?

植毛の術前術後の写真を見ると、軽度の脱毛状態の方が、フサフサになったのは見たことがないのですが、自分もまだ、術前の写真で見る程の脱毛状態ではありません。
そこで、貴クリニックでは、まだ植毛には適さない状態の者に、育毛の治療はおこなって頂けるるのでしょうか?

つむじ廻りや生え際や分け目のちょっとした自毛植毛をプチ植毛気分で!と言うのを新聞の広告でみたことがあるのですが、実際プチ植毛程度の増毛でショックロス分を差し引いて満足できる程の増毛ができるものでしょうか?

プロペシアを使用すると、初期脱毛がおこったり、女性化乳房が起こったりするのはDHTに変換されなかったテストステロンがエストロゲンに変換さる為と聞いたことがあるのですが、もしそうだとしたら、スポーツサプリメントとして販売されているアロマターゼ阻害剤でそれは防げ得るのでしょうか?

プロペシアの効果として1年の使用で直径1インチの頭頂部の範囲で約70本の発毛が見られたと聞くことがあるのですが、どの程度の確率でその効果は得られるのでしょうか?

頭皮の5アルファリダクターゼは人によりⅠ型が優勢の場合があると聞いたことがあるのですが、それはどうなのでしょうか?
関連して、デュタステライドの効果はどう考えておられるでしょうか?

また、一酸化窒素が休止期から発毛へ至らせる要素となり得るとも聞いた事があるのですが、その場合、アルギニンの摂取は効果があるでしょうか?

ミノキシジルを使用した事があるのですが、かぶれが起こり使用をやめました。
ミノキシジルで初期脱毛のケースありといわれますが、それはどうして起こるのでしょうか?

いろいろと不躾な質問の仕方で、申し訳ございません。

木村

お返事

木村様へのお返事

ご質問にお答え致します。

1.典型的な壮年性脱毛は比較的緩徐に年単位で進行していきますが、お尋ねのような(数ヶ月ー1年程度)期間でも薄毛進行が顕著に認められる例がございます。急激に進行した原因やホルモン動態を判断することは難しいと思いますが、ストレスや無理なダイエットなどが薄毛進行を助長した可能性は否定できません。

2.残っている頭髪量が多い場合(客観的に薄毛が軽度)は、移植をお薦めしないことがあります。この場合、ご希望があれば、ミノキシジールやフィナステライドなどの薬剤を処方させていただいております。

3.通常、ショックロスは一時的な現象とお考えいただいて差し支えございません。
プチ植毛であっても移植密度が充分であれば、当然効果は期待できるはずです。

4.アロマターゼはアンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素といわれており、理論的にはアロマターゼ阻害剤を用いれば、アンドロゲンからエストロゲンへの経路が抑制されることになりますが、果たしてプロペシアの副作用が防げるかどうかは判りません。初期脱毛などの原因については、はっきりしておりませんが、ホルモンの代謝経路などを考えるととても興味深いお話と思います。

5.有効率が70−80%などのデータが添付されているようですが、「どの程度の効果があったのか」など詳細については判りません。
日本でも12月に販売が開始されたので今後いろいろなデータが報告されるはずです。

6.薄毛には5ーαリダクダーゼ以外に男性ホルモンのリセプターの存在が関係しているようです。このリセプターと同じようにⅠ型とⅡ型は身体の存在分布が異なると言われており、分布部位によって優勢と語られることがあります。デュタステライドはⅠ型 Ⅱ型とも阻害するので効果の範囲も広くなると考えられますが、薄毛の治療薬としては、臨床試験中の段階です。

7.残念ながらお尋ねいただいた内容については知識がなく、お答えすることができません。

8.原因については明確になっておりませんが、毛周期の変化が一因になっている可能性があると考えております。




医師 林