施術　その後（S.Kさんの投稿）

S.K様へのお返事

先日7月31日の手術の際は、長時間お疲れ様でした。手術後最も大切な１ケ月間を無事に過ごされまして、何よりと存じます。これまでの順調な経過を、心からお慶び申し上げます。今回のご質問のお返事が大変遅くなってしまいまして、申し訳ございませんでした。
また先日は、手術後の診察にご来院下さいまして、遠方でご多忙のところありがとうございました。診察の結果も大変順調な所見で、全体的にもまったく問題ない経過でした。

今回は生え際にしっかり密度を作りましたので、１年後には生え際のボリューム感がかなり出るはずです。結果を楽しみにお待ちください。
ドナー部の痛みの感じ方にはかなり個人差がございます。大部分のお客様は、同じようにルーズな頭皮を縫合した場合、翌日には痛み止めの薬もいらなくなったと、後日お話になる場合が多いです。中には若干の痛みをしばらく感じられる方もおられます。いずれ、時間の経過でこの痛みも消えますので、このまま様子を見られて結構です。先日の診察でも、ドナー部は問題なくきれいに治っておられました。この時期にはドナー部の縫合糸はもうほとんど消えてなくなっていますので、今後の抜糸は必要ありません。

生え際は生涯目立つ最も大事な場所ですので、技術的に限界の最高密度で移植してあります。１回の移植だけでも１年後にはかなり満足度の高い仕上がりになるはずです。１年後の結果を楽しみにお待ちください。
生え際の形は、術前のカウンセルングで決めた通りの形に仕上げてあります。つまり、うぶ毛になって細くなり透けていた範囲を濃くするイメージです。基本的には、生え際の位置と形は以前と同じにしてあります。生え際の形を別の形にすると、顔のイメージが変わってしまうので、特別な場合を除いては、生え際の形を変えないで密度を増加することを優先されたほうが、自然で以前と同じ顔のイメージで、若々しい雰囲気に仕上がります。この点は、手術前のカウンセリングでご説明した通りです。

両サイドのＭ字部分を下げたいというご希望は若い方に多いですが、Ｍ字部分を下げ過ぎると、生え際全体のバランスが変わってかえって変な形の生え際になり、顔の印象のバランスが崩れる場合があります。
植毛する前はＭ字部分だけが気になってどうしても下げたいと強く思い込みがちですが、実際にＭ字部分だけを下げ過ぎると、予想と違って不自然な形の生え際に見える場合があるのです。生え際は顔の印象に直接影響しますので、慎重に形と位置を決めて、標準の位置と形で植毛されたほうが無難です。

男性の生え際は年齢とともに必ず後退して上がっていきます。将来、年齢を重ねていかれたときに、周囲の方々の生え際は全員後退していきますが、ご自分だけＭ字の低い生え際で生涯過ごすことになると、周囲の人と顔の印象が合わなくなって、何となく年齢的に違和感のある顔つきになる可能性があります。生え際のＭ字部分を下げる場合は、よほど慎重に位置とデザインを決める必要があるのです。

それでもどうしても下げたい場合は、手術後約半年経てば、同じ範囲に追加の植毛を受けることは可能です。同じ範囲に２回目の植毛をする場合は、約半年間は頭皮を休ませたほうが、よいと思います。
生え際が同じ形でも、前髪にボリューム感が出て、生え際が濃くなると、若々しい印象になります。まずは、今回の植毛の仕上がりを１年後に見ていただいた後で、さらにＭ字を下げる必要があるかどうかお決めになると良いと思います。

医師　柳生