プロペシア(729さんの投稿)
プロペシア(フィナステライド)は、ステロイドホルモン剤、あるいはステロイド剤なのでしょうか?使用方法を誤まるといわゆる副腎皮質ホルモン剤の様々な副作用が出現する事がありとの情報は、正しいのでしょうか?
729
お返事
729様へのお返事
ご質問ありがとうございます。
Finasterideに関するご質問ですね。
Finasteride(Propecia)はステロイド・ホルモンとは無関係です。ご安心下さい。Propeciaは男性型脱毛に対する効果的な治療薬で、副作用も少なく比較的安全な薬として世界60カ国以上で承認され広く使用されています。同じようにDutasterideもまぎらわしい名前ですが、副腎皮質ホルモンとは関係ありません。Finasterideの副作用は、男性ホルモン抑制作用の結果、意欲減退、性欲減退、皮膚発疹や蕁麻疹、胃腸症状、まれに勃起機能不全などがみられ、使用を中止すれば副作用も消失して元通りに回復します。
男性ホルモンのうちのテストステロン(Testosterone)は5-α reductase(5-α還元酵素)によってDHT(Dihydrotestosterone)に変化し、このDHTが前立腺肥大症や男性型脱毛症の原因になります。5-α reductase(5-α リダクターゼ)は前立腺、毛包、皮膚、肝臓、皮脂腺などに分布しています。5-α reductaseには1型と2型の2種類があります。2型の5-α reductaseは主として前立腺と毛乳頭に分布しており、この2型5-α reductaseを阻害する薬剤として、1992年にFinasterideが米国のFDAにより認可されました。以来、男性型脱毛症に対しては1日1mg、前立腺肥大症に対しては1日5mgが世界的な標準使用量として推奨されています。Dutasterideは前立腺肥大症の治療薬として2003年にFDAで認可されたもので、1型と2型の両方の5-α reductaseを阻害します。男性型脱毛症に対しては、2000年に米国で臨床投与試験が行われ、現在、遠隔期の効果と副作用の調査報告が行われている段階です。
もっと詳しく、専門的に説明してみましょうか。
男性ホルモンが細胞に影響して薄毛化の原因となるためには、テストステロンと 2型5-α reductaseと男性ホルモン受容体(リセプター)の3者が必要です。男性ホルモン受容体は髭、腋毛、前頭部の毛乳頭の細胞に存在しますが、後頭部の毛乳頭細胞にはほとんど見られません。また、顎髭、前頭部の毛乳頭細胞には 1型と 2 型の5-α reductaseが存在していますが、後頭部の毛乳頭や腋毛には 1 型の5-α reductaseしか存在しません。これらの違いから、髭や男性型脱毛などの特徴的な変化が生じてくるのです。すなわち、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞には 2 型5-α reductaseと男性ホルモン受容体の両者が存在するので、テストステロンを5-αDHTに代謝して薄毛が進行していくのですが、後頭部と側頭部の毛乳頭細胞には1型5-α reductaseしかなく男性ホルモン受容体も少ないので薄毛になりにくいのです 。
医師 柳生