しろ様へのご返事(医師 林さんの投稿)

私の友人の皮膚科医や形成外科医が紀尾井町クリニックに遊びに来ると、皆驚きます。「本当に生えてくるのか」と、、、、。
それだけ日本の自毛移植技術の普及が遅れているのです。医師でさえ知らない自毛移植技術の情報を収集分析しておられるしろ様には敬服致します。ちなみに、米国では医療関係者でない方でも自毛移植のことは知っている方が多く、年間90万人の方が自毛移植手術を受けていると報告されています。誤情報が氾濫していますが、誤った情報に惑わされず、正確な情報収集を続けて下さい。さて、ご質問にお答えします。
1.正常では1センチ四方に100−200本程度の頭髪が生えています。一回のマイクロ植毛で1センチ四方に移植可能な本数は50本が限界です。
従って、2回の手術をすることで1センチ四方に100本生やすことが可能です。計算上は4回の手術で1センチ四方に200本生えますが、生えている頭髪の隙間に移植するので200本の移植は困難です。密度形成の場合は3回程度(正常の75%)が限界と考えてください。しかし、ボリュームを出す為に重要なことは頭髪の太さが大きく関係します。通常、移植する側頭部から後頭部の頭髪は前頭部の頭髪に比べてかなり太いのです。
したがって、移植毛は1年後に、側頭部と後頭部の頭髪と同じ太さまで成長する為、1センチ四方に100本程度でもかなりのボリュームが出ます。生え際の頭髪の満足度には個人差があるようです。50本でも充分と言われる方から100本でも足りない方もおられます。
常識的な話ですが、若い時は少し薄くて不満かも知れませんが、加齢にによる自然な生え際の後退は避けられません。長期的な視野で考えた場合は、あまり生え際だけの密度を求めない方がよろしいかと思います。
2.少し太めの頭髪になりますが、どんなヘアースタイルでも可能と思います。しかし、短髪のヘアースタイルとなると密度とのバランスを考える必要があると思います。短髪の場合は、生え際が露出するので全体の頭髪密度が同じ程度が自然に見えます。
3.移植技術の問題かと思います。移植するホールやスリットの深さが移植株の長さと合わない時に起こり易いと言われています。NHT式自毛移植では、ご心配されているPIT SCARを予防する為に、移植株の長さや大きさを確認してからホールやスリットを作ります。更に数株を試しに移植してサイズを確認しながら移植をしていきますので大丈夫です。

以上参考にして下さい。

紀尾井町クリニック  医師  林  光輝

医師 林