質問(コンサルさんの投稿)
VVさんのコメントをみました。
私は、3年前に自毛植毛をしましたが、このところ スカスカになってしまいました。もともと無毛状態だったのだから仕方ないのかなあと考えていましたが。VVさんによると基本的にはありえないとのことなので、自分には相性が悪いものだったのかななんて考えてしまいます。やはり、ある程度の人たちはスカスカ状態になってしまうのかな?でも、つるっぱげよりはましだと思わなくてはならないのかな?
そこで、毛髪サイクルは男性の場合3〜5年といわれておりますが、植毛してから3〜5年で抜け落ちてしまう髪はこのサイクルと関係あるのでしょうか?だとすれば、次のサイクルに植毛したところから再び生えてくるということになるのでしょうか。そうであれば待っていればまたフサフサになるのでしょうか。
先生方のご教示をお願いしたいと思います。
コンサル
お返事
コンサル様へのお返事
自毛植毛の歴史は1950年代から始まり、1960年代から1970年代にかけて世界的に普及してきました。その間、いろいろ細かい手術手技の変遷がありました。現在の形に近いものになったのが1990年頃ですが、基本的な概念は40年近い歴史の評価に耐えてきたものです。この間、ドナードミナントの理論が崩れたことはありませんでした。また、国際毛髪外科学会で世界的な長老の先生方を拝見しますが、これらの長老の先生方の多くは、ご自分で自毛植毛を受けたことがきっかけで、他の領域から植毛外科に参加された方々だったりします。この方々の中には1960年代終わりから1970年代の頃にご自分の無毛領域に自毛植毛を受けられて、最近お会いしてもふさふさのヘアスタイルの方もおられます。このことは、自毛植毛の髪は少なくとも40年間以上生え続けることの証明でもあります。実は多くの植毛専門医たちが自身で植毛を受けた結果、自毛植毛の効果は20年〜30年間変らないことを体験しているので、彼らの言うことにうそはないでしょう。
男性の毛周期は年齢や薄毛の進行状況によって成長期や休止期の長さが変ります。それによって太い髪が生えている期間が短縮して休止期の毛根でいる期間が長くなるのです。この毛周期をもとのようにもどして、成長期を長くして休止期を短くしてくれるのがミノキシジルといわれています。
移植の際に、全く無毛の領域に植毛なさるお客様の数は実はあまり多くありません。大部分の方々は、薄毛が残っている領域への植毛です。そして、既存の髪の薄毛化が進行する結果、3〜5年後に移植部の濃さが減少して見えるのが、実際には最も多い現象です。既存の髪の薄毛化の進行は誰にも止められないのです。薄毛化を遅らせて、なるべく現状維持を長く続けるためには、育毛剤を継続することが必要です。
もう一つの薄毛化の原因の可能性は、以前ドナーを採取した場所の問題です。生涯安全なドナー領域は、個人差が微妙にあります。ドナーを採取した領域が、将来薄毛化する場所だった場合には、移植した毛も将来薄毛化する可能性があります。ドナー採取部分がどこの領域だったかは、実際のカルテを参照するか、ドナー採取部の傷跡の位置を見れば確認できるでしょう。
ご心配の場合は、治療を受けられたクリニックに直接受診されて、カルテを照合してもらい、植毛前の既存毛の状況と現状を比較してもらうために診察を受けられることをおすすめします。
医師 柳生