密度（ponさんの投稿）

pon様へのお返事

ご質問の意味がよくわかりません。
自毛植毛治療で問題になるのは、１度の手術で植えることが可能な密度です。低い密度で多数回の植毛手術を繰り返すのであれば、植えた分だけ密度はいくらでも増えます。
たとえば、日本人の場合、正常の100％密度の頭皮では、１cm2あたり約130〜150本の毛髪が生えており、それぞれの毛髪の直径は約70〜90ミクロン前後です。自然の毛髪は１〜２〜３本ずつ束になって生えていて、これらを毛包単位(follicular unit)と言いますが、それぞれの毛包単位は約1〜0.5mmの距離が離れて生えています。これを顕微鏡で拡大して見ると、毛髪の直径に比べて毛包単位はかなり距離が離れて生えているのです。それが正常の密度100％の状態なのです。この毛包単位の間の距離は、毛の直径よりもずっと広いので、性能の良い拡大鏡を使って正確な角度で植え込む手術をおこなえば、正常の間隔の毛包単位の間にさらに植毛して密度を正常以上に増加させることさえ、理論的には可能なわけです。
ただし実際には100％以上の密度で植毛することは意味がありません。薄毛面積が広いのに対して生涯で移植可能なドナー総量は圧倒的に不足しているのが現実なのです。採取したドナー面積以上に広い薄毛面積に移植して濃く見える仕上がりにしなければならないのに、正常以上の密度で植毛していけば、いくらドナーがあっても足りないからです。
つまり、治療的な意味はありませんが、正常の頭髪以上の密度で植毛することが可能かどうか、というご質問に対する答えとしては、理論的には、多数回の植毛を繰り返せば正常以上の密度に作ることは可能であり、限界密度の本数はいくらでも増やせると言うこともできます。

医師　柳生