自毛植毛について(トムさんの投稿)
生え際が薄くなってきて(他の人には気ずかれないくらいですが)切ない気持でいっぱいです。そこで少しずつメスを使わない方法で誰にも気ずかれない様にプチ植毛的な事を繰り返す事も考えていますが現在髪の毛のある所にどれくらい植毛をする事はかのうでしょうか?生え際から薄くなってきているので気になります。あと大体植毛可能本数は15000本前後といわれていますがAGAが影響する場所の髪の毛の本数はどの位あるもうでしょうか?最後に自毛を培養する研究がされている事を聞きましたが現在の研究はどの位進んでいるのでしょうか?昨年から度々質問させて頂いていますがいつもご親切にお答ありがとうございます。
トム
お返事
トム様へのお返事
いくつかのご質問、ありがとうございます。
髪が薄くなると悩みが大きくなりますが、自毛植毛で髪が復活すると何よりもうれしいものです。
メスを使わない方法は、ごく小さな傷跡などに、数十株程度の少数の株数だけ移植する場合に向いている方法です。広い範囲に多数の株数を移植する場合には向いていません。
生え際に残っている髪に現在薄毛があれば、自毛植毛は可能です。まだ薄毛になっていない場合には、予防的な植毛はおすすめできません。現在、本当に必要な場所に、最低限の株数で有効な植毛することが原則です。
典型的な男性型脱毛症の場合、最も広範囲に脱毛が進行した状況では、4〜5万本の髪が必要になります。前頭部から中央部〜頭頂部に広がった脱毛で、後頭部と左右横の側頭部の髪だけが残った状況です。
それに対して、自毛植毛で採取可能なドナー数は、生涯の総合計で約12,000〜15,000本前後しかありません。圧倒的に不足したドナー数で、できるだけ広範囲の脱毛部をカバーするためには、わずかのドナー数も無駄にできません。1回の植毛手術も無駄にできません。そのためには、熟練した手作業の株分けと手作業による植え込みが、最も大切な条件です。
自毛植毛の結果はクリニックによって差が大きいです。同じ量のドナーを使っても自毛植毛の仕上がりにはクリニックによって大きな違いが見られます。自毛植毛を検討される場合には、慎重にクリニックを選択なさって下さい。
ご自分の毛根細胞を培養して増やせれば、理論的には、無限にドナーを確保できる可能性があります。薄毛の治療にとっては、夢の方法です。世界で数グループがそれぞれ独自の方法で研究を進めていますが、現実にはなかなか進展が遅いのが実情です。実際に薄毛治療の選択肢の一つとして実用化されるのは、10〜20年先になるかも知れません。
医師 柳生