Y先生に一言(Keiさんの投稿)

外出できないくらい悩んでしまったら、オペしてあげますと言ったのに結局オペをことわられました。薄くはなってませんから自信もっていいですと幾ら励まされても、世間はそうは見てくれません。皮膚科の女医さんも、少しきてますと言いましたし、美容師さんもてっぺんの毛がすごく細い、男性だからしょうがないよね、はやく結婚しちゃたほうがいいんじゃない、とわらいながらですが本当に言われました。顕微鏡でみて毛が薄くないと言ったところで無駄です。オペのお金をためるために頑張ってきましたが、今は仕事中も失望感と怒りばかり感じ、仕事も雑で投げやりになっています。はじめから助け船を出さなければここまで当てにはしなかったので、発言の責任は取って頂きたいです。

Kei

お返事

Kei様へのお返事

自毛植毛は、男性型脱毛症や女性型脱毛症などの脱毛症に対して、現時点で最も有効で最終的な治療法で、正規の医療行為です。医療行為であるからには、手術の適応を判断する際には、医学的な適応の基準がございます。薄毛でない場所に、むやみに植毛の手術をすることはありません。

薄毛があるかどうかの最終的な判断基準は、顕微鏡で分析した所見で決められます。肉眼的な所見は、最終判断にはなりません。見かけ上の髪の濃さは、髪の長さや、ヘアスタイル、髪の色、そのほかいろいろな要素で影響されるので、あてにならないからです。地肌が透けて見えるからと言って、薄毛の定義に該当するわけではありません。

顕微鏡で薄毛の状況を詳細に調べて、薄毛の定義に当てはまる場合は、どなたも自毛植毛の手術の適応があると判断されます。
顕微鏡で調べた所見が、正常と初期の薄毛の境界領域の所見の場合は、自毛植毛を行うか否か、判断が分かれる場合があります。その場合、精神的な悩みの程度も加味されて、最終的に手術適応が判断される場合があります。
顕微鏡的な所見が、明らかに正常で、薄毛の兆候が見られない場合は、自毛植毛の手術適応はありません。

自毛植毛は、正規の医療としての治療行為です。最終的な手術適応は、客観的で医学的な判断基準に従って、最終判断が下されます。主観的な判断が入ることがないように努めることが、医療者の義務でもあります。
どんなにご本人が思い込んでおられても、医学的に植毛の手術適応がない場合は、当院では自毛植毛の手術をおこなうことはありません。ご本人の悩みに付け込んで、手術料金をいただく行為は、恥ずべき行為だと考えています。
医療に従事する者としての良心に従って、正しい判断を、ご本にもお伝えしています。

とくに頭頂部付近や分け目などは、ヘアスタイルや髪の長さなどによっては、正常の頭髪でも、地肌が透けて見えやすい場所です。薄毛でない場所を、薄毛と思い込んで悩んでおられる場合、自毛植毛で髪を増やしても、地肌が見えない程までは濃くなりません。植毛しても地肌が隠せない結果に終わると、手術後も今の悩みは解決されないで、継続することでしょう。

医師 柳生