ＦＯＸでの、ドナー採取（匿名さんの投稿）

匿名様へのお返事

ＦＯＸはＦＵＥと良く似ていて昔行われていたパンチ式（デメリットが多く行っていません。）をより細かくした方法です。ＦＵ毎にくり抜いて毛根を採取する方法です。どちらかと言うと最近の自毛移植術では新しい方法です。今年のＩＳＨＲＳ（国際毛髪外科学会）でもこの種の発表が数件あり、質疑応答も盛んでした。その中で興味深い問題点を上げます。
１）「本当に傷跡が目立たないのか？」と言う問いに対しては、現在私達が行うドナー採取部の１本の傷跡が散らばった状態で傷跡自体の面積は変わらないと言う事を言っておりました。また、丸坊主にすると虫食い状の傷跡となるようです。ドナーの毛髪量の少ない・ケロイド体質の東洋人にはどうかと感じました。
２）以前から言われている定着率の問題にもまだ結論が出ません。特に、今年話していた内容には、１回目の結果は問題ないが、２回目以降の手術の結果はあまり良くないと言う点が興味深かったです。この理由はドナー採取を散らばす為、１回ドナー採取を行うとドナー部の毛根の向きが一定方法でなくなり、２回目以降のドナー採取時に毛根を傷付けてしまう事によるようです。
３）この移植は非常に時間が掛かり、手術に長時間を要すようです。
４）治療費が３）の理由や人件費等の問題があり、２倍位掛かるようです。
以上の問題点があり、この問題が解決されないと広がらない方法と思います。また、この方法を推奨するクリニックでも全患者２０％以下しか行っていないようです。（問題点がなければ、殆どの患者様に行うと思います。）私の個人的な考えは、東洋人にはこの方法は向かないと考えます。もし行うならば、現在の方法を複数回行いもうドナー採取が出来ない（ドナーを採取した後の縫合が不可能になった）状態で、少しでも移植希望する方や極小さな範囲の移植の方にはメリットがあると思います。　
　残念ながら現在ＮＨＴグループでは、この方法は採用しておりません。

医師　富永