第19回国際毛髪外科学会(ISHRS)のご報告(1/5)
第19回国際毛髪外科学会(ISHRS: International Society of Hair Restoration Surgery)がアラスカのAnchorageで2011年9月14日~17日の4日間開催されました。
今回の学会で、柳生元院長は、エキスパートとの朝食会、ランチ・シンポジウム、口演発表、ポスター発表と、早朝から夕方まで4回の発表をこなし大活躍でした。
9月のアラスカは、少し郊外に出ると、まだ自然がいっぱい残っていて、野生動物たちに出会う機会も多く、空気と水がおいしい環境でした。今年の9月の日本はまだ残暑が続いて夏の延長のような日々でしたが、アラスカはすでに冬の始まりで、風が強い日は、場所によっては日本の真冬の防寒着が必要な寒さでした。
今年の会場は、市内のDena’ina Civic and Convention Centerでした。(宿泊場所のHotel Captain Cookから徒歩5~8分の距離でした。)
アメリカ人医師たちにとってもアラスカは遠いらしく、同じアメリカ国内とは思っていない人も多いようで、大自然の中のアドベンチャー気分を満喫している様子でした。
トピックス
学会の話題は、注射による男性型脱毛症の治療薬、毛根の細胞培養研究の進捗状況、移植株の保存液、胎児繊維芽細胞分泌タンパクと毛根細胞保護効果、毛根刺激物質の臨床使用経験とドナー部の創治癒促進効果、若年者の薄毛に対するメソセラピー、FUT法とFUE法の比較、植毛治療の外科技術的要素、FUE法の様々な技術、ギガセッション、女性型脱毛症でのCAG遺伝子型、手術後の抜け毛、毛髪の生理学、プロスタグランディンを使った毛根細胞の成長刺激、男性型脱毛症の病因における炎症と免疫の関与、薄毛の薬物治療、ミノキシジルによる薄毛の治療、PRL治療の効果と毛髪成長サイクルへの影響、フィナステリドの精神的影響、低出力レーザー治療、フィナステリドの副作用と乳癌と前立腺癌、体毛をドナーに使った植毛、眉毛とまつ毛の植毛、毛乳頭細胞の分離培養、ビタミンDの影響、慢性下肢潰瘍への植毛治療、男性型脱毛症以外の薄毛、瘢痕性脱毛症の治療、frontal fibrosing alopeciaの病理組織、lichen planopilarisと植毛治療、生え際のデザイン、治療困難な症例、新しいlaxometer、trichometry測定による毛包断面解析、ドナー創閉鎖法、trichophytic法の上縁下縁の比較、人種差によるFUE法と植毛法、など様々な内容の発表がありました。
ビデオ・セッションでは、頭頂部への植毛法、レシピエント領域の技術的改良、トリコスキャンによる患者選択、デジタルビデオ顕微鏡を使った植え込み、ドナーの毛根切断率を最小限のおさえた採取法、ビデオ顕微鏡を用いた株分け法での毛根切断率、Neograftを用いた手技、ロボットによるFUEドナー採取法、縫合結節のない皮膚縫合法、などが話題になりました。
招請講演では、Vera Price博士が瘢痕性脱毛症の最新情報を講演しました。Marty Sawaya博士は様々な毛髪疾患での炎症反応とその調節の講演をおこない、William Ehringer博士は臓器移植での保存液と添加物質に関する講演をおこないました。