第16回オーランド・ライブ手術ワークショップ(OLSW)のご報告


国際毛髪外科学会(ISHRS)が後援・共催する、第16回オーランド・ライブ手術ワークショップ(OLSW 16)が、2010年4月7-10日の間、アメリカ・フロリダ州オーランドで開催されました。今回、紀尾井町クリニックの柳生元院長がこのワークショップに招待され、講師の一人として講演を依頼されて、2題の発表をおこないました。いずれの発表も大変注目され、好評でした。

講演の演題は「Skin Incision Line and Prevention of Donor Hair Transection」と「Safe Operation in High Risk Patients with Cardio-vascular Diseases」でした。
前者は、ドナー採取の際に、毛根の切断率を最小限にとどめ、しかも、ドナー傷跡を目立たなく仕上げるための具体的な方法を解説したものです。後者は、循環器疾患を合併する高リスク症例で、安全な植毛手術をおこなうためにいろいろな対策をまとめて解説したものです。どちらの講演も欧米の植毛専門医たちに大変に好評で、たくさんの質問が寄せられました。

ドナー採取の際に、専門的な配慮の有無により、植毛に利用できるドナー量やドナー部の傷跡に大きな差が生じることが聴衆に理解され、紀尾井町クリニックの手術方法の優れた点が欧米の植毛専門医たちに評価されたことは、うれしいことでした。
循環器疾患の中でも最も重症に属する、解離性大動脈瘤や脳梗塞、心筋梗塞などのある症例にも、複数回の植毛手術を安全におこなっている事実は、世界の誰も試みていない治療であり、心臓や脳の合併症を未然に予防するための具体的なさまざまのアドバイスは、欧米の植毛専門医たちにも、すぐに役立つ、とても参考になる内容と、大好評でした。
発表後に、さまざまな意見や質問が寄せられました。

ほかに今回の学会で話題になった内容では、脱毛の原因、生え際のデザイン、頭皮の弾力性、株分けの技術、手術の安全性、合併症の予防、FUE法のさまざまな工夫、女性型脱毛症、ドナー縫合の工夫、眉の植毛、まつ毛の植毛、長髪の植毛、まつ毛の育毛剤、Finasterideの副作用と女性症例の治療での有効性、広範囲脱毛症例の治療戦略、などについて活発に議論されました。

ライブ手術では、株分けの技術、FUE法、FUT法、新しいドナー部縫合法、広範囲の脱毛症例の手術、女性の生え際の手術、眉毛の植毛、まつ毛の植毛、瘢痕への植毛、FUE法の新しい器械、黒人症例の植毛、ドナー部の傷の修正手術、などが実演されました。