第15回国際毛髪外科学会(ISHRS)のご報告

第15回国際毛髪外科学会(ISHRS)の学術総会が、2007年9月27日から30日までLas Vegasで開催されました。
今年は例年以上に参加者が多く、特にアメリカ国内からの参加者が多いことが目立ちました。

学会前日の9月26日に、世界各国の毛髪外科学会代表が集まる会議Global Councilが開かれ、紀尾井町クリニックの柳生元院長が日本臨床毛髪学会の会長として出席しました。日本の代表として日本の事情を説明し、欧米各国の代表と英語で議論するのは大きなストレスでした。これが今回の学会出張の大きな任務の一つでもありました。欧米人はストレートに切り込んでビジネス感覚で自分の意見を表現しますので、日本の立場と状況を理解してもらえるように、はっきりとわかりやすく主張してきました。世界各国でいろんな懸案事項が毎年問題になっていて、その調整を図るのもこの会議の役目の一つでした。



9月27日から学会本会議が始まると、世界で積極的に活躍されている各国の代表的な先生方がぞくぞくと集まってきて発表され、にぎやかな雰囲気になりました。

今回、柳生元院長は、一般口演1題と、ポスター発表1題の、合計2題の研究発表をおこないました。
ポスター発表の通知を受けたのが1カ月前で、それから作り始め、出発間際にようやく完成したポスターを使っての発表でした。演題は「Concentric Orientation (smile orientation)」でした。ポスターは大変好評で、欧米の多くの医師から、すばらしい内容だと賛辞が寄せられました。さっそく自分の臨床に取り入れて、すぐにでも参考にしたいと、評判でした。柳生元院長いわく、忙しかった準備の労力が報われた思いとの感想でした。

口演発表の演題は「Comparison of Storage Solutions」でした。手術中に移植株を良い状態で保存する方法についての研究発表でした。保存液の研究で世界的に有名な研究者たちに混じって、紀尾井町クリニックでの成果を発表してきました。ホットなテーマなので活発な議論が繰り返されました。発表後、米国の学会長老たちやRassman先生や大会長Keene先生たちから柳生元院長の発表内容に賛辞が寄せられ、素晴らしい研究なので今後も是非研究を進めて結果を継続発表して欲しいと要望されました。

全体的な学会の発表内容としては、ドナー傷が目立ちにくいtrichophytic closure法がすっかり定着した手技になっていました。そのほかには、薄毛の薬物治療、レーザー育毛などの面で、新しい医療技術の進歩が見られました。