第21回国際毛髪外科学会(ISHRS)での会員総会発表



第21回国際毛髪外科学会(International Society of Hair Restoration Surgery, ISHRS)の年次学術集会はサンフランシスコのHotel Hyatt Regency San Franciscoで開催され、2013年10月23~26日の間熱心な討議が繰り返されました。


2013年10月25日に開催された国際毛髪外科学会(ISHRS)の会員総会で、統括理事の柳生元院長は、会員数の報告をおこないました。

ISHRSは現在、世界69ケ国から1,200人以上の植毛医が会員に登録された、世界最大の自毛植毛専門の医学の学術団体です。今年も約140人の新しい会員の入会が承認されました。会員の内訳は、約半数がアメリカ人で、残りが世界各国の会員です。



サンフランシスコは、坂の多い小さな街で、朝夕、街全体が霧に包まれて、幻想的でした。トニー・ベネットの「霧のサンフランシスコ」の歌の雰囲気そのままの街でした。
湾にはベイ・ブリッジがかかり、海辺の丘に建つビル群の間を、ケーブルカーがのんびりと上がり降りして、鈴なりの市民を運んでいました。


エキスパートとの朝食 Breakfast with the Experts


第21回国際毛髪外科学会(ISHRS)で、2013年10月26日の朝食会Breakfast with the Expertsのラウンド・テーブルを担当しました。ここでは、世界の15人の代表の一人として柳生元院長がテーブルの一つを担当し、参加者の質問に答え解説しました。
これは、早朝7時から8時までの間、朝食を食べながら、世界的に著名な植毛医に直接会って、日頃の疑問点や具体的な治療のアドバイスなどを、自由に直接質問できる機会を、学会の会員に与える企画です。広い会場に並ぶ14台のラウンド・テーブルで、各テーブルの担当者が、それぞれのテーマに関して、自由に質問を受け付けて答えました。早朝の時間にもかかわらず、広い会場は多数の参加者の熱気に包まれました。
柳生院長がScott Boden博士と一緒に担当したテーマは、「周術期のリスク管理」でした。手術前後の合併症の予防方法や、合併症が起きた時の対処方法を解説し、参加者の質問に答えました。柳生元院長の解説には、大勢の人だかりができて、世界各国からの参加医師たちが熱心に耳を傾けました。


Poster 発表


第21回国際毛髪外科学会(ISHRS)で紀尾井町クリニックの柳生元院長は、ポスター発表をおこないました。発表の演題名は「Antithrombotic medications in hair transplantation: Safe operation in coronary heart disease and atrial fibrillation」でした。心臓病の狭心症や、不整脈の心房細動などがある患者さんは、心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクが高いので、手術を断わられる場合が多いのですが、事前の薬剤の調節を注意して行えば、植毛手術を安全に行うことができることを、解説したものです。アメリカ、ヨーロッパ、日本の各国の循環器学会が公表している診療のガイドラインを、わかりやすく整理し、簡潔な形にまとめた実践的な内容です。実際の臨床で応用しやすい実用的なフローチャートにまとめた3部構成の治療指針は、多くの学会参加者に大変に好評でした。
とくに若手の植毛医の多くは、ポスターのフローチャートをスマホに記録して行きました。「明日からすぐに参考にして、治療に役立てたい」、「今回のポスターの中で、もっとも有益な情報」などと喜ばれました。


※脚注
ISHRS; 国際毛髪外科学会、ABHRS; アメリカ毛髪外科学会、ESHRS; ヨーロッパ毛髪外科学会

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