植毛で失敗しないための5つのポイント【医師監修】
植毛(自毛植毛)で失敗しない為には、幾つか確認すべきポイントがあります。AGA・薄毛治療として植毛は自身の髪の毛が生えてくるため、とても魅力的な治療法ですが、場合によっては失敗をしたと感じてしまう場合もありますので、ご自身で理解・納得した上でお決めになる事が重要です。今回は植毛で失敗しないために重要な5つのポイントをご紹介させて頂きますので、参考にしていただければと思います。
植毛後に失敗と感じてしまうこととは
植毛を成功させる為に、まずは失敗と感じる代表的な例を挙げてみていきましょう。「AGA治療で後悔しないために」でも紹介をさせて頂きましたが、大きく下記の3つがございます。
治療効果
植毛治療を受けても期待した効果が得られなかったり、満足のいく結果が得られないと感じる場合があります。
- 移植毛が生えない
- 移植毛は発毛したが、思いの外細い
- 範囲は十分だが密度がない or 密度は十分だが範囲が狭い
- 生え際のデザインが不自然
- 移植本数が想定よりも少ない など
副作用やその他リスク
医療行為全般に言えることですが、植毛治療でも、手術後の経過中にいろいろな副作用やその他リスクが伴う場合があります。
- 痛み、出血、吐き気、移植部位のカサブタや赤み、かゆみ、額やまぶたの腫れ、感染症、一時的な脱毛、麻痺、膿胞、髪の毛の縮れなど
- FUTの傷:1本の線状の縫合痕が生涯残ります。体質や採取数、医師の経験・技量等によっては傷が目立ちやすくなる場合があります
- FUEの傷:米粒大の小さなくり抜き痕が採取した数分、生涯残ります。体質や採取数、医師の経験・技量等によっては傷が目立ちやすくなる場合があります など
コスト
植毛治療は自由診療ですので、クリニック毎に値段が違います。手術方法やクリニックによって、その費用負担が思いの外大きくなってしまう場合があります。
- 分かり難い費用構成で、結果的に希望の植毛費用を大きく超えてしまった
- オプションを付ける必要があり、想定費用を大きく超えてしまった
- 植毛だけではなく関連商品も勧められて、よく分らないまま購入してしまった など
植毛で失敗しないための5つのポイント
植毛後に失敗と感じてしまう理由をみてきましたが、それらを避ける為には、どの様な事に気を付ければよいのでしょうか。ポイントを5つに絞ってご紹介いたします。これ等をご考慮いただいた上で、極力複数のクリニックにて相談をされる事をお勧めいたします。実際に相談して比較検討される事で、植毛ついての理解が深まるとともに、よりご自身に合ったクリニックの選択ができるでしょう。
経験豊富なクリニック(医師・看護師含む)を選ぶ
植毛手術は、医師のみではなく看護師を含めたチーム医療であり、各々の植毛経験値が結果を左右すると言っても過言ではありません。たとえどれだけ実績のある医師でも、看護師の植毛経験が足りない場合は、十分な植毛手術が出来ない可能性があり、逆もまた然りです。必ず医師や看護師の植毛経験を確認しておきましょう。将来を見据えた植毛デザインにおいてもクリニック(医師)の経験が大変重要となります。例えば、植毛専門のクリニックであれば経験症例は多いと考えて良いですが、手広く色々な美容医療を行っていて、植毛「も」行っているクリニックの場合は経験症例が少ない場合があります。
植毛手術には、大きくFUE(follicular unit extraction)やFUT(follicular unit transplantation)の2種類あります。いずれもドナー株の採取方法が違いますが、どちらが優れているということではなく、FUEは比較的少ない移植数、FUTは多い移植数にとケースによって向き不向きがございます。そのため、どちらの術式で実施するのかを迷われている、解らない等の場合は、まずは両方の術式を扱っているクリニックに相談されることをおすすめします。実際に両方の実績がある医師に、其々の方法のメリット・デメリット、副作用やリスクなどを偏りなく聞く事ができますので、植毛への理解を深めたりご自身の選択肢をより広げる事ができます。
【ポイント】
- 医師や看護師に植毛手術の十分な経験はあるか
- 植毛に特化したクリニックか
- FUTとFUEの両方に対応しているか
- 植毛デザインや技術など実績を基にしたノウハウを持っているか
- FUE希望であれば、ドナー採取部分を刈る方法と刈らない方法に対応しているか
- FUT希望であれば、ドナー採取部分の縫合方法に「トリコフィティック縫合法」を採用しているか など
医師との相談をしっかり行う
植毛手術は、事前に医師とじっくり相談した上で、相談した医師によって実施されるべきです。通常お悩みを医師に直接相談して、症状を診断してもらい、その結果やご希望に応じて治療計画が立てられます。その際に医師から植毛のメリット・デメリットはもちろん、副作用やリスクなどもしっかりと説明を受け、理解・納得をされた上でご自身によって決定するよう心掛けましょう。もし不明な点があったら理解・納得できるまで何度でも相談するようにしましょう。また、希望を汲み取った上で治療プランを組んでくれるか、術後の相談はしやすそうかなども考慮して、医師との相性も確認しておきましょう。
【ポイント】
- 十分な時間をとって医師へ相談ができるかどうか
- 医師との相性は問題ないか
- 植毛についてのメリット・デメリット、副作用やリスクなどを納得するまで確認する
- ドナー採取エリアの傷痕も数例確認する
- 相談した医師が手術まで一貫して担当しているか
- 傷修正への対応ができるのか、どの様な方法で出来るのか
- 植毛デザインと移植数のバランスに問題はないか など
費用を確認
植毛手術は、AGA治療の中でも比較的1回の費用が高額なものとなります。自由診療の為、クリニックごとに治療費が違いますので、一見安い金額でも条件があったり、想定外の追加費用が発生したりする可能性もあります。悪質なクリニックでは、手術当日に追加オプションの説明があるようなところもあるようです。必ず「かかり得る総額」を確認しておきましょう。
【ポイント】
- 費用構成は分かり易いか
- 植毛手術(事前相談+手術+アフターフォロー)の総額はいくらになるのか
- 追加の費用が発生する可能性があるのか
- 効果があるのか不明なオプションはその場で決めない
- 治療の催促に注意を払う など
アフターフォローの確認
植毛は手術が終わった後も重要です。なぜならば、移植した毛髪をしっかりと定着させる必要があるからです。そして、自毛植毛は効果を実感するまでは通常1年程度かかります。その間、様々な不安を感じる事もあるかと思います。術後に医師または看護師より注意点や過ごし方などが伝えられますが、言われた通りに過ごしていても、体質や状況によっては副作用やリスクが起きてしまう可能性があります。他にも、定着していないのではないか?、生えないのではないか?、傷痕が気になる、等、心配になってしまう場合は、遠慮せずに手術をしたクリニックに相談をしましょう。何かあった際に、しっかりと医師が対応してくれるクリニックですと、より安心できるかと思います。
【ポイント】
- 術後のアフターフォローは無料で対応しているか
- 施術した医師や看護師が相談に乗ってくれるか
- 有料になるケースを確認する など
期待できる効果を確認・認識する
植毛は自身の髪の毛が生えてくる魅力的な治療法ですが、自身の髪の毛の総量を越えて生える訳では無く、髪の毛がある部分から採ってきて、薄い部分に移植する治療法になります。つまり生涯で移植できる毛根の量には限界があります。特に広い範囲で薄毛が目立つ場合は、全ての範囲を植毛で高密度にできないケースもあります。その際は薬と併用したり、長期的に良い結果につながる様に、限りある株をうまく配分する必要が出てきます。
基本的に移植後の移植毛は、術後1ヶ月くらいで一旦抜け落ちてから生え変わります。既存の髪の毛のある部分に移植する場合は、術後一時的に抜け毛が増える「ショックロス」が起こることがあり、その場合は一時的とはいえ手術前より薄く見える可能性があります。このことから、効果を感じるまではおよそ1年程度かかります。
移植毛はAGAの影響を受けにくいため生涯生え続けることが期待できますが、既存毛はAGAの影響を受けます。このため、もしAGAが進行して既存毛が抜けてしまうと移植毛のみが残り、密度が低く見えてしまう可能性があります(そうなった場合には2回目の手術を検討する必要があるかもしれません)。
【ポイント】
- 薄い部分に健康な髪の毛を移植するので、髪の総量は変わらない(生える場所が変わるだけ)
- 効果を実感するのは移植後およそ1年後。ショックロスが起これば一時的に移植前より薄くなる可能性もある
- 個人の体質や状況によって効果には差がある
- 密度を高くすれば範囲は狭くなり、範囲を広くすれば密度は低くなる場合がある
- 移植毛はAGAに強いが、既存毛はそうでない場合があるため、注意が必要
- 植毛はFUT法・FUE法のいずれにしても必ず傷痕は残る
まとめ
植毛で失敗しないための5つのポイントをご紹介させて頂きました。昔に比べて植毛を行う医療機関は増えてきて選択肢が増えましたが、その分何処を選べば良いのか迷ってしまう方もいらっしゃるかと思います。ご紹介させて頂いた5つのポイントを確認して、ご自身に合う医療機関を選択する事で、失敗と感じてしまうリスクも減らせるかと思います。また、重要な事としては、極力複数の医療機関に相談をするという事です。相談を行ったからといって、必ずそこで治療をしなければならないわけではないので、気軽に相談をして、ご自身の症状や希望、状況に合わせた治療プランを提示してもらい、納得の上でご自身で植毛を実施するかどうか、何処で実施するのかをお決めになるよう心掛けましょう。
1998年よりAGA治療・自毛植毛専門院としての実績を持つ紀尾井町クリニックは、国内で数少ないFUTとFUEの両方に対応できるクリニックです。経験豊富な医師が直接相談を承った上で、お悩みに寄り添って一緒に薄毛治療プランを考えております。AGA・薄毛でお悩みの方、植毛を検討されていらっしゃる方はお気軽にご相談下さい。
AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 正会員
医師 中島 陽太