頭皮のかゆみと薄毛の関係は?原因や予防、対策・治療法を紹介【医師監修】

頭皮のかゆみと薄毛の関係は?原因や予防、対策・治療法を紹介

 頭皮のかゆみは多くの人が経験する一般的な症状ですが、このかゆみが薄毛抜け毛と関係する場合もあります。前頭部や後頭部などの頭皮の状態が悪化すると、毛根や毛包にダメージを与える可能性があり、最終的には薄毛を引き起こすことがあります。そこで今回は、頭皮のかゆみと薄毛の関係、その原因、予防法、そして対策・治療法について詳しくご紹介します。

頭皮のかゆみとは?

 頭皮のかゆみは、主に皮膚の刺激や炎症が原因で発生します。ムズムズしたりチクチクするようなかゆみを感じると、無意識のうちに頭皮を強くかいてしまいがちですが、この行為が頭皮や毛根にさらなるダメージを与えることがあります。頭皮のかゆみは、軽度のものから深刻なものまで様々な原因がありますが、それが薄毛や抜け毛に関連している場合は早期の対応が重要です。

頭皮のかゆみの原因

 頭皮のかゆみには様々な原因があります。代表的なものをいくつかご紹介いたします。

乾燥

 頭皮が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激に対して敏感になり、かゆみが生じます。季節の変化やエアコンの使用、洗浄力の強いシャンプーの使用などが主な原因です。

皮脂の過剰分泌

 頭皮に過剰な皮脂が分泌されると、毛穴が詰まりやすくなり、炎症やフケの原因となります。これが頭皮のかゆみを引き起こします。

菌の過剰繁殖

真菌(カビ)

 真菌の一種である「マラセチア」は、頭皮に常在する菌ですが、皮脂が過剰に分泌されると、それらを栄養源として増殖していきます。この過程で頭皮に刺激を与え、炎症やかゆみ、フケの原因となります。脂漏性皮膚炎は、マラセチアの過剰増殖が原因で起こる代表的な症状です。

細菌

 頭皮の毛穴が詰まると、皮脂や角質の中で細菌が繁殖しやすくなります。特に「ブドウ球菌」などが関与する場合が多く、これが頭皮の炎症や毛包炎を引き起こし、強いかゆみを伴うことがあります。毛包炎は、毛根に炎症を起こす細菌感染で、小さな赤いぶつぶつやかさぶたができ、かゆみや痛みを伴うことがあります。

アレルギー反応

 シャンプーやコンディショナー、その他ヘアケア製品に含まれる成分に対するアレルギー反応が原因で、頭皮にかゆみや炎症が生じることがあります。

頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎や毛包炎など)

 脂漏性皮膚炎や毛包炎といった頭皮の炎症性疾患は、強いかゆみを伴います。これらは細菌や真菌の感染、免疫反応によって引き起こされることが多いです。

ストレス

 ストレスがかかると自律神経が乱れ、血管が収縮しやすくなります。これにより頭皮への血流が低下し、必要な栄養や酸素が届かなくなり、頭皮が乾燥したり敏感になったりすることが増えます。さらに、ストレスは皮脂分泌を不安定にさせ、過剰に分泌されると毛穴に皮脂が詰まりやすくなり、炎症を起こしてかゆみを引き起こすこともあります。また、ストレスによるホルモンバランスの乱れは、頭皮のターンオーバーを妨げて、頭皮の健康が損なわれてしまう場合があり、フケの原因にもつながります。慢性的なストレス状態が続くと頭皮が敏感になり、些細な刺激にも反応しやすくなるため、かゆみが頻発することもあります。

頭皮の血行不良

 頭皮の血行が悪くなると毛根や皮膚の細胞に十分な栄養や酸素が届かなくなり、細胞の働きが低下しやすくなります。これにより頭皮が乾燥しやすくなります。乾燥した頭皮は刺激に敏感になり、痒みやフケが発生しやすい環境になります。また、血行が悪い状態が続くと皮脂の分泌も不安定になり、過剰な皮脂が毛穴に詰まることで炎症を起こし、さらにかゆみが悪化することがあります。

頭皮のかゆみと薄毛の関係

 頭皮のかゆみと薄毛の関係は、直接的な関係がないことも多いですが、痒くて搔いてしまうことによって頭皮や毛根がダメージを受けると薄毛の原因となることもあります。それぞれかゆみの原因別に薄毛との関係をみていきましょう。

乾燥

 頭皮が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、外部刺激に対して敏感になります。乾燥によるかゆみが原因で頭皮を掻くと、毛根や毛包がダメージを受けることがあります。このダメージが毛髪の成長を妨げ、薄毛のリスクを高めることにつながります。

皮脂の過剰分泌

 頭皮の皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まりやすくなり、毛根への栄養供給が阻害されます。これにより、毛包の成長サイクルが乱れ、髪が細くなる、または抜けやすくなることがあります。皮脂の蓄積が進むと、毛根の健康が損なわれ、薄毛が進行する可能性があります。

菌の過剰繁殖(真菌・細菌)

 真菌(例:マラセチア)や細菌(例:ブドウ球菌)の過剰繁殖は、頭皮の炎症や毛包炎を引き起こし、かゆみを伴うだけでなく、毛根に直接的なダメージを与えることがあります。炎症が続くと毛包が縮小し、髪が細くなり、抜け毛や薄毛の原因になることがあります。

アレルギー反応

 頭皮がシャンプーやヘアケア製品の成分に対してアレルギー反応を示すと、頭皮が炎症を起こし、かゆみと共に毛根にも悪影響を及ぼすことがあります。これが長期間にわたると、毛根が弱まり、髪の成長が遅くなり、最終的に薄毛につながることがあります。

頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎や毛包炎など)

 脂漏性皮膚炎毛包炎は、頭皮の強いかゆみと共に毛包に炎症を起こし、毛根の健康を損ないます。炎症が続くと、毛包の成長サイクルが乱れて髪が抜けやすくなり、毛髪が細くなって薄毛が進行するリスクが高まります。

ストレス

 ストレスは、ホルモンバランスを乱し、皮脂分泌の増加や血行不良を引き起こす原因になります。また、ストレス自体が炎症を促進し、毛包の健康を損ないます。このような影響により、毛髪の成長が阻害され、薄毛のリスクが高まります。

頭皮の血行不良

 血行不良は、毛根への酸素や栄養の供給を妨げ、毛包が弱まる原因となります。これにより、髪の成長サイクルが乱れ、髪が細くなるか、抜けやすくなり、薄毛の原因となります。

頭皮のかゆみの予防

 頭皮のかゆみを予防するためには、例えば以下のことが効果的です。

適切なシャンプーを使用して適切な方法で洗う

 頭皮に優しいシャンプーを選び、過剰な皮脂や乾燥を防ぎましょう。低刺激性の製品が望ましいです。また、一日に何度もシャンプーしてしまうと、皮脂が過剰に落ちてしまい、逆にかゆみの原因となることもあります。また同様に、洗浄力が強すぎるシャンプーの使用や熱いお湯での洗髪も皮脂を落とし過ぎてしまう事があり、その結果かえって皮脂を過剰に分泌させてしまう場合があるので、頭皮への負担を減らすように頭皮を指の腹で優しくマッサージするようにぬるま湯を使用して洗うなど、洗髪方法にも注意をしておきましょう。マラセチアなどの真菌がかゆみの原因の場合は、ケトコナゾールシャンプーという抗真菌薬入りのシャンプーを使用することが効果的です。

適度な頭皮の保湿

 乾燥による刺激がかゆみを引き起こすことがあるため、頭皮を保湿できるケア製品を使い、潤いを保つことが効果的です。保湿には頭皮専用のローションやオイルを使い、優しくマッサージすることで血行も促進され、さらに健康な頭皮環境を保てます。シャンプーも刺激の少ないものを選び、洗いすぎず必要な皮脂を残すよう心掛けておくと良いでしょう。また、湿度が低い季節は加湿器も効果的です。

アレルゲンを避ける

 シャンプーやトリートメントなどのヘアケア製品、整髪料などに含まれる成分が刺激となり、かゆみを引き起こす場合があるため、極力低刺激や無添加の製品を選ぶと良いでしょう。もしヘアケア用品を変更し、それがきっかけでかゆみが起こったり皮膚が赤くなったりした場合は、その用品が身体に合わないものである可能性があるため使用を控えた方が良いでしょう。

ストレス管理

 ストレスが過剰にかかると自律神経が乱れ、皮脂の分泌が増加したり、免疫機能が低下したりして、頭皮に炎症やかゆみが生じやすくなります。深呼吸や軽い運動、趣味の時間を持つことなど、自身に合ったストレス解消法をみつけて気分転換を図り、心身をリラックスさせましょう。良質な睡眠もストレスを軽減することに役立ちます。

栄養バランスの良い食事

 健康な頭皮を保つためには、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンE、亜鉛などの栄養素が効果的です。ビタミンAやEは皮膚の健康をサポートし、ビタミンB群は皮脂の分泌を調整して乾燥を防具効果が期待できます。また、亜鉛は皮膚の再生を助け、頭皮のトラブルを減らします。これらの栄養素を含む緑黄色野菜、ナッツ類、魚や肉をバランスよく摂取することで、頭皮環境が整い、かゆみの予防につながります。

頭皮のかゆみの対策・治療法

 頭皮のかゆみの対策や治療法には、以下の方法があります。

医師の診断と治療

 かゆみが続く場合や症状が重い場合、気になる場合は、まずは皮膚科の専門医に相談することが重要です。専門医に診断をしてもらい、症状や体質に合った適切な治療を進めていきましょう。

適切なシャンプーの使用

 低刺激性シャンプーのシャンプーを選び、頭皮への刺激を抑えて炎症を引き起こさないようにします。マラセチアなどの真菌がかゆみの原因の場合は、ケトコナゾールシャンプーという抗真菌薬入りのシャンプーを使用することが効果的です。

薬用治療

 頭皮の炎症が強い場合、医師が処方するステロイド外用薬を使用することで、炎症とかゆみを軽減できます。またアレルギー反応によるかゆみには、抗ヒスタミン剤が役立つことがあります。これも医師の指示に従って使用します。

抗菌・抗真菌治療

 マラセチアやその他の真菌による感染が原因の場合、抗真菌薬の内服や外用が必要です。医師の診断に基づいて適切な治療を行います。細菌感染による炎症が原因の場合、抗生物質が効果的です。これも医師の指示に従って使用します。

生活習慣の改善

 ストレスが頭皮のかゆみを悪化させるため、リラクゼーションや趣味の時間を確保し、ストレスを軽減できるようストレスの管理を行うようにましょう。またビタミンやミネラルを豊富に含む食事を心がけ、栄養面からも髪と頭皮の健康をサポートするよう心がけておきましょう。

頭皮の保湿

 頭皮用の保湿剤やオイルを使って、乾燥を防ぎます。アロエベラやココナッツオイルなど、保湿効果のある自然な成分を含む製品が有効です。

その他の頭皮ケア

 頭皮マッサージを行うことで血行を促進し、頭皮の健康をサポートします。また頭皮を生乾きの状態にしないよう、清潔なタオルで優しく拭きます。必要に応じてドライヤーで乾かすとよいでしょう。この時に粗雑に扱ったり、熱を与えすぎないよう注意しましょう。

まとめ

 頭皮のかゆみと薄毛の関係は複雑で、多くの要因が絡み合っています。しかし、原因を理解し、適切な予防策や対策を取ることで、頭皮の健康を維持し、頭皮のかゆみに関係した薄毛の進行を防ぐことが可能です。清潔な頭皮を保つこと、乾燥を防ぐこと、ストレスを管理することなどが、健康な髪を守るための基本的な対策です。また、症状が続く場合や悪化する場合は、すぐに専門医の診察を受けることをお勧めします。これにより、頭皮のかゆみを和らげ、健康な髪を保つための適切な治療を受けることができます。
 1998年よりAGA治療・自毛植毛専門院としての実績を持つ紀尾井町クリニックは、AGA治療薬はもちろん、国内でも数少ないFUT植毛とFUE植毛の両方に対応できるクリニックです。経験豊富な医師が直接相談を承った上で、お悩みに寄り添って一緒に薄毛治療プランを考えております。AGA・薄毛でお悩みの方、抜け毛が増えてきたと感じる方、植毛を検討されていらっしゃる方はお気軽にご相談下さい。

AGA治療・自毛植毛|紀尾井町クリニック
日本泌尿器科学会専門医・同指導医
国際毛髪外科学会 会員
医師 中島 陽太